由比への日帰り旅行(後編)|歴史と味、そして手しごとにふれる町歩き

家族ラボ

静岡・由比の後編は、江戸時代の風情が今も残る町並みの中をゆっくりと歩きながら、歴史と伝統、そして地元の味覚にふれる旅です。見て・食べて・触れて心が満たされる1日となりました。

正雪紺屋|伝承ある藍染めの家屋

最初に立ち寄ったのは、藍染の工房として知られる「正雪紺屋(しょうせつこうや)」。江戸初期、由井正雪の生家と伝わる歴史的建物で、築400年近い古民家です。関東大震災にも耐え、今なお現役の住居兼店舗として活用されている貴重な場所です。

店内には、かつて使われていた染物用の藍甕(あいがめ)や、仕事場の設備が当時のまま残されています。まさに「生きている文化財」と呼びたくなる空間。

正雪紺屋
正雪紺屋のカメ
正雪紺屋の中

桜えび柄のハンカチに一目惚れ

ふと目にとまったのが、手ぬぐいを半分にしたサイズのハンカチ。その柄は、由比の特産である「桜えび」をモチーフにしたもので、一つひとつ丁寧に染め上げられた手仕事の温もりが伝わってきます。

あまりのかわいさに、自分用と娘用に色違いで2枚購入しました。
このハンカチ、ただの記念品ではありません。

・吸水性が高く
・肌触りが柔らかく
・しかも乾きやすい

ので、外出時の相棒として大活躍しています。特に暑い季節には首に当てたり、手を拭いたりと大活躍。正直、「もっと買えばよかった…」とちょっと後悔しているくらいです。

日々の暮らしに「旅の記憶」が溶け込んでくれるのが、こういうお土産の良さですね。

東海道広重美術館|浮世絵の世界へタイムトリップ

続いて訪れたのは「東海道広重美術館」。浮世絵師・歌川広重による『東海道五十三次』の作品を中心に、東海道にまつわる文化と絵画を専門に展示する美術館です。

館内は落ち着いた雰囲気で、由比宿を描いた原画や関連資料が多く展示されており、江戸時代の人々の旅や風景へのまなざしがリアルに伝わってきます。

体験コーナーで「浮世絵の摺り」を体験!

特に楽しかったのが、浮世絵の摺り(すり)体験

・色ごとに用意された版木に
・専用のバレンで色を擦り込みながら
・1枚ずつ丁寧に仕上げていく工程は、まさに職人技

子供たちと一緒に摺ってみたところ、意外と力加減や位置合わせが難しい…!
けれど、だんだん色が重なって一枚の絵が浮かび上がってくる様子は感動的でした。インクがちょっと手につくのも、また思い出の証拠です。

今回は子供たちがいたので、すべての展示をじっくり見ることはできませんでしたが、「また一人でゆっくり来たい」と思わせる場所でした。

浮世絵体験

松風堂|地元に根差す老舗和菓子屋

歩き疲れたタイミングで立ち寄ったのは、由比本陣公園のすぐそばにある「松風堂」という和菓子店。地元の人々にも愛される、由比の名物を生かしたお菓子作りを続けています。

おすすめはなんといっても「レモンケーキ」。懐かしさのある素朴な味わいで、甘さ控えめ。爽やかなレモンの香りがふわっと広がります。

そして、もうひとつの名物が「正雪最中(しょうせつもなか)」。
香ばしく焼かれた皮と、ちょうどいい甘さのあんが絶妙なバランス。食べているうちに、昔ながらの和菓子の良さを思い出します。

さらに「桜えびサブレ」も人気で、地元産の桜えびを使用した他にはない風味。どれもこれも、お土産にぴったりな逸品ばかりです。

松風堂
松風堂メニュー

いちうろこ|文政元年創業の練り物屋で味わう「静岡の味」

旅の締めくくりは、文政元年(1818年)創業の老舗かまぼこ店「いちうろこ」へ。なんと200年以上の歴史を持つ、無添加手づくり練り物の専門店です。

店頭で揚げたて「しらす揚げ」

名物は、その場で揚げてくれる「しらす揚げ」。
しらすを練り込んだ蒲鉾生地を油で揚げたもので、アツアツのモチモチ食感としらすの塩味が絶妙!

外はちょいカリッと、中はしっとり。ちょっと小腹が空いたタイミングにぴったりで、店先で食べるこの体験も、旅ならではの楽しみです。

「黒はんぺん」を生で刺身風に

そしてお土産に買ったのが、静岡名物「黒はんぺん」。
一般的な白いはんぺんと違って、イワシやサバなどの青魚のすり身を使用し、色はグレー〜黒っぽく、魚の旨味が凝縮された深い味わいです。

この日は、夕食で生のままわさび醤油でいただく“刺身風”で味わいましたが、これがまた格別。地元静岡では、焼いたり煮たり、おでんに入れたりと、どんな調理でも美味しい万能食材です。

いちうろこ外観
いちうろこ店内
黒はんぺん

旅の余韻と、また来たい町

こうして由比の一日が終わりました。

・歴史の空気をまとう建物で、過去と今がつながる体験
・手仕事の品々が日常に彩りを添える買い物
・地元の素材と味にこだわったグルメたち

どれもが「由比らしさ」をたっぷりと感じさせてくれました。

今度はもっと時間をとって、広重美術館をじっくり見てみたいし、また季節を変えて再訪したい。
由比は、静かな感動が積み重なる場所でした。

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